Collage Works – 時空の断片 – Robert Kushner & John Gall

February 5 Mon.  – February 29 Thu. 2024

Yoshiaki Inoue Galleryでは、美術運動「パターン&デコレーション」の代表的な作家であるロバート・クシュナーと、書籍デザインで知られるデザイナーのジョン・ゴールが手がけたコラージュ作品に焦点をあてた二人展を開催します。

コラージュ(collage)はフランス語の「coller」から派生し、「のりで貼る」を意味しています。この芸術形式は20世紀初頭にキュビスト達によって初めて取り入れられ、写真や絵、文字などを新聞や雑誌から切り抜き、それを支持体に貼り付けて制作します。

クシュナーとゴールはこれまで多くのコラージュ作品を制作しており、クシュナーは百科事典のイラストや図表、古い絵葉書や切手、楽譜、日本の木版画などを使用し、一方でゴールは雑誌の人物像や紙面の切り抜きを用いてカラフルな作品や同系色の紙を重ねたミニマルなもの、そして古い家族写真をカットし再構築した作品まで、多岐にわたる表現を展開しています。

これらのコラージュ作品は、元々の文脈から切り離された過去や現在、そして未来が同居する空間を提供しています。時代や記憶の断片が平面に重なり、鑑賞者に新たな物語や視覚イメージを呼び覚まします。ぜひご覧ください。

コレクション展 – GUTAI works on paper –

December. 11 Mon. 2023 – January. 27 Sat. 2024

具体美術協会(GUTAI)は、1954年、兵庫県の芦屋で結成された前衛美術家集団であり、リーダーの吉原治良を中心に既成の概念を捨て、さまざまな実験的な制作を通じて「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示」しようと活動しました。
今展では、これまでYoshiaki Inoue Galleryよりご紹介させて頂いております作家たちを中心に、コレクションを加えてそれぞれが工夫を凝らした特徴的な紙の作品をご紹介致します。

展示作家:
吉原治良/ Jiro Yoshihara
嶋本昭三/ Shozo Shimamoto
元永定正/ Sadamasa Motonaga
白髪一雄/ Kazuo Shiraga
吉原通雄/ Michio Yoshihara
吉田稔郎/ Toshio Yoshida
松谷武判/ Takesada Matsutani

協力:モトナガ資料研究室

ユアサエボシ/ Ebosi Yuasa 「涯にて/ at the end 」

October. 2 Mon. – October. 24.Tue. 2023

Yoshiaki Inoue Galleryではユアサエボシ展「涯にて」を開催致します。
ユアサエボシは1924年に生まれた架空の画家に擬態し作品を制作しています。ユアサは、架空の略歴を参考にしながら制作し、架空の画家を演じます。制作を通して架空の人物像が徐々に具体的に肉付けされていきます。
ユアサは自分の死後に、「ユアサヱボシ」という1924年生まれの架空の作家が実在した」という“嘘”を歴史の隙間に忍び込ませたいと考えています。
今展ではユアサエボシによる初めての春画シリーズの大作5点を中心にご紹介します。

【作品解説・春画シリーズ】
母が亡くなったときに、肌身離さず病床にも持ち込んでいた春画の本が出てきた。息子(ユアサヱボシ)の前では今まで一度も出したことのなかった母の隠された性的感情を知り、ユアサは驚きと共にある種の崇高さを感じた。
そこでユアサは幼少期から度々夢で見てきた涯(はて)の光景、それは極彩色の北極、南極のような極地の光景を背景として、そこに母が死の間際まで持っていた春宮図にある性交の情景を組み合わせて描いた。この5枚の作品はユアサの個人的な体験を元に生(性)と死を表現したものである。
(この5枚の作品はユアサの生前に発表されることは無かった。それは描く動機が余りにも個人的な内容であったため、発表を前提として制作されたものではないことや、この作品が描かれた1970年代当時の性に対する規制などの時代背景があったからなのかもしれない。)

Takesada Matsutani & Kate Van Houten – New Prints

September. 4 Mon. – September. 26.Tue. 2023

元具体美術協会のメンバーであった松谷はパリを拠点に半世紀以上にわたる活動をしており、ボンド(ビニール接着剤)を流し盛り上がったキャンバスを鉛筆で黒く塗りつぶす作品が松谷の代名詞となっています。
また、松谷は版画にも力を入れて制作しており、1967年にイギリス出身の銅版画家S.W.ヘイタ-がパリで運営する「アトリエ17」という版画工房に入り、銅版画を学びます。その時期にケイトと出会いともに版画を制作します。1969年の後半頃からはシルクスクリーンの制作も行い、1970年にアトリエ17を辞してパリ14区のモンパルナスに自らの版画工房を作り、スペイン国際版画展をはじめポーランドのクラコウ版画ビエンナーレなど、数多くの国際版画展で入賞しています。
今回の新作版画はケイトと共にパリのモレ版画工房で制作しています。
松谷の精巧な技術と版画に対する深い造詣が作品にどのように反映されるのか、そしてケイトの繊細な表現力がどのように対話するのか、今展は両アーティストの個性と才能をご覧いただく良い機会となるでしょう。

平久弥/ Hisaya Taira 「ESCALATOR PAINTINGS」

September. 1 Fri. – September. 22.Fri. 2023

Escalator #39 / acrylic on canvas / 53×80.3cm / 2022

平久弥(1960~)は90年以降、ニューヨーク郊外、日本の地下鉄のプラットホーム、エスカレーター、そしてニューヨークや東京、大阪の路地裏など、ありきたりな風景をフォトリアリズムの手法でストイックに描き続けてきました。
今展では、平が屋外風景から人工的な光の屋内へと目を向けた始めた2003年から最も多く描いてきたエスカレーターの新作群を発表します。

平のエスカレーターは都市の喧騒や動きの中で、あまりにも当たり前すぎて見逃されがちなエスカレーターの美しさや機能性を捉えています。現代の都市を生きる人々が、複層化された空間の内部を斜めに上下移動するための装置「エスカレーター」。平の視点で切り取られた風景に潜む光と影のダイナミズムを鮮やかに描き出しています。

平の作品は日常の中にある美と価値を見つけ出し、その美を観客に提供することで、私たちの視点を変える力を持っています。エスカレーターをモチーフに描くことで、日常風景の奥深さや普遍性を浮かび上がらせ、鑑賞者に新たな視点を与えることができるのです。
エスカレーターシリーズ9点を中心に新作12点の紹介になります。

井上廣子/Hiroko Inoue「Being the Stream」

June. 2 Fri. -June. 24. 2023

アーティスト井上廣子は写真やビデオで≪人間の意識の奥深くにある心の傷≫に関する作品の制作をしてきた。今、現代の目撃者として≪人間、文明、自然≫の緊張関係に関心を持って作品制作をしている。気候変動やパンデミックにより浮上し、グローバルな消費主義に向けられたこの緊張関係は劇的な転換点にある (Daily Mirror紙より)
今展では、写真とビデオでこのトピックにアプローチします。

詫摩昭人/Akihito TAKUMA solo exhibition at Tokyo

April. 25 Tue. -May. 14. 2023

詫摩昭人「逃走の線:”The battle is decided in an instant, but I seem to lose most of the time.”」
by Yoshiaki Inoue Gallery
会場:CADAN有楽町

詫摩昭人は1966年熊本生まれ。フランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze) の「逃走線」を引用して二項対立をすり抜けるコンセプトで絵画制作を続けています。絵具の乾かぬうちに自作の長いブラシでキャンバス全体を天辺から一気に擦りおろし、現れた画面に対立軸をなだらかに混ざり合わせたと実感できた時のみ自身の作品は完成となります。今回は昨年より発表を開始したカラー作品の新作をご紹介します。
(本展は東京有楽町駅近くのCADAN有楽町で開催されます)

松谷武判/ Takesada MATSUTANI

April. 1 Sat - April. 24 Mon, 2023

松谷武判は、ビニール系接着剤をキャンバスに大量に流し、扇風機やドライヤーで急激に乾かすことで有機的で官能的な造形を、平面に立体的に表現し、新しい絵画の可能性を示すものとして高く評価され、26歳で具体美術協会会員となり、29歳でフランス政府給費留学生として1966年に渡仏、その後パリのアトリエを拠点に制作を続ける。
2017年のヴェネツィア・ビエンナーレではメインセクション、2019年ポンピドゥーセンターでの個展と世界の第一線で活躍中。
ボンドの膨らみを使って有機的に表現された作品は、黒鉛が持つ鈍い光や独特の色彩で私たちを大いに魅了します。1980年代から2000年初頭の作品を中心に松谷の描く黒と白の世界をご堪能ください。

元永定正/Sadamasa MOTONAGA solo exhibition

December. 5 Mon - December. 26 Mon, 2022

元永定正氏(1922-2011)の生誕100年を記念して、Yoshiaki Inoue Galleryでは展覧会を開催します。1960年代から2010年に制作された作品10点による独創的でユーモアあふれる表現をぜひご覧ください。

舟越桂/Katsura FUNAKOSHI solo exhibition

October. 11 Tue - November. 5 Sat, 2022

舟越桂/Katsura FUNAKOSHI(1951年盛岡市生れ)
遠い彼方を見つめるような眼差しの人物像を一貫して楠を素材に制作してきた舟越桂。
弊廊では1997年に京都の伝統木版画摺師戸田正氏(1936-2000)が携わって制作された木版画シリーズ以降、新作の発表に合わせて舟越桂版画展を開催して参りましたが、この度は彫刻とドローイングを中心にしたご紹介をさせて頂きます。
彫刻は女性像、男性像、スフィンクス像の3体、ドローイングは新作3点をはじめ彫刻に関わる作品も含め作品の存在感で満ち溢れるギャラリー空間となります。また別フロアでは90年以降の版画作品25点を展示致します。
ぜひこの機会に幅広い舟越桂の魅力をご堪能下さい。
協力:西村画廊

Yoshiaki Inoue Gallery is pleased to announce the solo exhibition “Katsura Funakoshi”.
Tuesday, 11 October - Saturday, 5 November, 2022
gallery hour : 11:00 – 19:00 , closed on Sunday and public holiday
Venue: Yoshiaki Inoue Gallery 2F, 3F
special cooperation:Gallery Nishimura, Tokyo

詫摩昭人「逃走の線/ Lines of Flight- Color」

July. 15 Fri - Aug. 10 Wed, 2022

ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze、1925-1995)が唱えた「逃走の線」から着想を得て、油彩で描いた画面が乾かないうちに、横幅2mの刷毛を一気に上端から下端へ走らせる最後の瞬間で作品を仕上げる詫摩昭人の新作展。
今展ではカラーシリーズの初発表になります。

It has been almost 18 years since I began creating “Lines of Flight,” an oil painting done with one stroke with a brush two meters across. I tried many times in the past to create works in color, but I have never been able to produce anything satisfactory. But I decided to hold my first solo exhibition featuring color works, as I believe that for the first time I have something to show to you.

The concept of weaving between dichotomies is a theme that runs through the foundation of my work. I created my color works around two axes: “colored and achromatic,” and “false and real images”. The latter was inspired by landscape reflected on the surface of water.

With the pandemic beginning in 2020, and tensions in Ukraine cropping up in 2022, the world of today is one full of turbulence. But there is still beauty from the coming together of things, of things unfragmented. I hope you are able to enjoy the exhibit.
June, 2022 Akihito Takuma

⽩⿊の作品は、⽩と⿊という、時には⼆項対⽴とも⾔える軸を⽣み出しやすかったので、これまで⼀貫して作っていました。過去にもカラー作品を試したことは数多くあります。その時は補⾊で作ったりもしましたが、どこかぐちゃぐちゃとなり対⽴軸を作ることができず、今ひとつしっくりいかず、ほとんど発表することはありませんでした。しかし、今回やっとで、有彩⾊と無彩⾊の対⽐の作品を⽣み出せたと感じ、発表しても良い気持ちになりました。
ただ、カラー作品を作ろうとしたきっかけは、⽔⾯に映る⾵景が、⽔に映り、とけこんでいて、実像と虚像が⼊り混じった様⼦を魅⼒的に思い、そこからヒントを得た部分もあります。なので、現在のカラー作品には、⼤きく⼆つのひらめきがあります。
詫摩昭人

PLAY

April 11 Mon-April 30 Sat, 2022

内田 ユイ / Yui Uchida
原口 みなみ / Minami Haraguchi
ダニエル・ヌニェス / Daniel Nuñez

English follows Japanese

内田ユイ、原口みなみ、ダニエル・ヌニェスの若手作家3人によるグループ展「PLAY」を開催いたします。

内田ユイは、山梨県出身、東京都在住のアーティスト。内田はアニメーションの製作過程において用いられるセル画の技術を応用して制作を行います。現代社会において新しい技術が日々生み出されセル画技術がデジタルに移行する中で、内田はこのセル画を用いることにより絵画に運動を与えることに成功しました。透明のシートに描かれるイメージは、どこか懐かしさを感じさせ私たちの記憶の間で歩き出し、それぞれのストーリーを生み出させます。今やアニメーションの制作の技術の向上により失われつつもあるセル画の技術を使用することと、描かれたイメージが結びつくのも内田の仕掛けたトリックの一つであると言えるでしょう。

原口みなみは、大阪府出身、2016年に京都市立芸術大学院修士課程を修了し、現在も大阪で活動するアーティスト。身の回りに存在する何気ないものや風景をドローイング、コラージュ、粘土、アクリル、オイルなど様々な素材や媒体間を何度も横断し、繰り返し重ねて描きます。ある部分は突出したり、ある部分は失われたりして、素材として用いられたイメージは原型を失っていきます。それは個人の記憶や思い出が、時とともに変容していく様を表現しているようで、私たち鑑賞者は最後に残ったキャンバスから原口が見て感じて経験してきたものだけでなく、私たち自身の記憶や思い出をも想起させます。

ダニエル・ヌニェスは、1988年にスペインのマドリードに生まれ、Higher School of Professional Drawing (ESDIP)を卒業し、現在もマドリードにスタジオを構えるアーティスト。ヌニェスは、自身を取り巻く様々なシンボルを彼自身の世界観に置き換え、独自のタッチで表現します。靴、植物、電話など私たちの身の回りに存在する何気ない日常のアイテムは、ヌニェスのキャンバスを通して無視できないものへと生まれ変わり、魔法のように物理的な存在感を獲得します。

本展は、遊び心の中の誠実さをテーマに、これからを担う若き才能のみずみずしい感性や未来を創造する力強さと可能性を紐解きます。

We, Yoshiaki Inoue Gallery are pleased to present the group exhibition “PLAY” by three young artists, Yui Uchida, Minami Haraguchi, and Daniel Nuñez.

Yui Uchida is an artist born in Yamanashi and currently based in Tokyo. She creates works by applying celluloid techniques; anime-cels, used in the animation production process. While new technologies are being created every day in today’s society and the use of anime-cels are shifting to digital technology, Uchida applies and utilizes this traditional celluloid technique to give movement to her paintings. The images depicted on the transparent sheets evoke a sense of nostalgia, walk among our memories, and create their own stories. Uchida links the fragility of these vanishing celluloid techniques with the images themselves drawn on these vulnerable transparent sheets.

Minami Haraguchi is an artist born and based in Osaka and completed her MFA at Kyoto City University of Arts in 2016. Haraguchi paints ordinary objects and landscapes that exist around her; repeatedly crossing between various materials and mediums such as drawing, collage, clay, acrylic, and oil. Some parts protrude, while some parts are lost and the images used as inspiration lose their original forms as our personal memories transform over time. The canvas reminds not only of what the artist has seen, felt, and experienced, but also evokes our own memories.

Daniel Nuñez was born in Madrid, Spain in 1988, graduated from Higher School of Professional Drawing (ESDIP), and is still based in Madrid where the artist has a studio. Nuñez translates the various symbols that surround him into his own worldview and expresses them with his unique painting technique. Common everyday items that exist around us, such as shoes, plants, and telephones are transformed in Nunez’s canvas into something non-negligible, magically acquiring a physical presence.

With the theme of sincerity in playfulness, this exhibition, “PLAY” unravels the raw sensitivity of emerging talents and their strength as well as their potential to create a new future.

北川宏人/Hiroto Kitagawa 「Space & Ceramic」

北川宏人(1967年-)はモデリングの状態から乾燥過程で内部の粘土を掻き出すことで空洞をつくり、原型をそのまま焼成するという特殊な手法で「時代を切り取る」彫刻作品を作り続けてきました。やわらかい粘土で細身の立像を作り上げるという困難な手法で等身大の制作を続けてきた北川が、コロナ禍の与えられた時間の中でこれまでの経緯を振り返り、土や釉薬についての課題に取り組みながら、新たな挑戦として初めて等身大を超える2メートル級の制作に取り組みました。作品は世の中を宇宙空間というスケールに置き換えそれを守る戦士のイメージです。
今展ではこの大作を中心にSpace&Ceramicというテーマに沿ってこれまでの作品を含めたインスタレーションでご紹介致します。

Memory of the Beach

Nov.25 wed- Dec. 20 Mon, 2021
Marc DESGRANDCHAMPS/マーク・デグランシャン(French)
Yang-Tsung FAN/范揚宗 (Taiwan)
Katsura FUNAKOSHI/舟越桂
Akihito TAKUMA/詫摩昭人
Hiroko INOUE/井上廣子

詫摩昭人 「逃走の線/ Lines of Flight-Skyscraper Ⅱ」

Sep. 24 Fri - Oct. 20 Wed, 2021
ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze、1925-1995)が唱えた「逃走の線」から着想を得て、油彩で描いた画面が乾かないうちに、横幅2mの刷毛を一気に上端から下端へ走らせる最後の瞬間で作品を仕上げる詫摩昭人の新作展。
今展は、ここ数年間取り組んでいるテーマ「Skyscraper(摩天楼)」の都市の範囲も広げさらに発展させています。
修正の利かない制作工程で一度限りの美を追求する作品群をご高覧下さい。
80号3点を連結させた大作(145.5 x 336cm)を中心とした展示となります。

Real – 陶芸の可能性Ⅱ / Contemporary Ceramics

July 27 – August 13, 2021

陶芸の技術や土という素材を出発点としながらも新しい表現を模索し続ける4名の作家たちをご紹介します。
それぞれが抱える時代性や方向性はじつに様々であり多彩な才能の競演の場となります。
陶芸の可能性をぜひご覧下さい。

<出展作家>
秋永邦洋  Kunihiro Akinaga
北川宏人  Hiroto Kitagawa
田島弘庸  Hirotsune Tashima
桑田卓郎  Takuro Kuwata (※collection)

青野セクウォイア/ Sequoyah Aono  – Face to Reality –

June 19 Sat, - July 15 Thu, 2021

青野セクウォイア(1982年イタリア生まれ)

東京で育ち、ニューヨークで彫刻を学んだ後2007年東京藝術大学大学院修了。現在、ニューヨークと日本を拠点に活動。
当ギャラリー初個展となる今展では、自身のスタジオ近辺で見かける石灯篭から発想を得た作品の発表となります。このコロナ禍にあって少しでも未来を照らしだせるものとの想いも込めた等身大作品を中心にしたインスタレーションと、木彫のミニセルフポートレートを発表致します。

Artist Statement

It has been over a decade since I started working at the part of stone factory in Sekigahara as a studio. In these few years I spend most of the time at this studio while I’m in Japan. On the way to the studio by motorbike, I often notice a stone lantern standing by the roadside. My growing up in Tokyo, it is a bit uncommon and a strange sight. Is it related to the numbers of stone factories in this area, I wonder!?
At some point in these days, I began to care about one lantern when travelling to a neighboring town. In a word, that lantern looks like a human. When that lantern happens to be at the corner of my sight, I turn around under the illusion that I come across someone. That is like human standing by the size and proportion, and I even feel a sense of its gaze through the lantern. That lantern doesn’t look so old, and I don’t want to say, “the soul dwells in the stone” or such a ghost story. It just happens to me.

The main new work in this exhibition is based from such a daily frame. Looking at the lantern like a human being, I wanted to make a sculpture combined a human and a lantern. And as I work on it, I gradually think it becomes an important meaningful motif to me. The function of “Tōrō(Japanese stone-lantern)” which leads the soul of the dead returning home by its light also seems to illuminates my road of “sculpture” I walk. Art and creation might be connected to a place, the next world. “Tōrō” doesn’t mean that it is a leading role, so to speak, but only a supporting role. For me, who spent my childhood avoiding “standing out” as much as possible, I feel the same sense of familiarity with the way the “ Tōrō” has. This time I wanted to curve the one which could play a leading role at this exhibition.

With Lantern Man centered in this exhibition, new pieces of sculptures are arranged around like installation. And among its components, numbers of “4” and “13” which are said to be ominous in Japan and Western countries are hidden. And in addition to the Western sculpture techniques I usually incorporate in, there are also parts that I refer to Asian modeling, such as Buddhist art and stone gardens. The combination of these ideas comes from my daily life. At the same time, however, under this corona pandemic Asians and Asian Americans sadly have been thrown to strict dangers in New York City, my other stronghold, all which have effect on process of my sculptures. I have a strong feeling to think over Asian and Western cultures. Now again I reconsider my identity and would like to express my role as an artist.

I’m highly grateful for visitors to the venue even in this severe condition. I hope this exhibition will lighten viewers up for the better, even slightly…

Thanks a lot to All.

関ヶ原にある石材所の一部をスタジオとして間借りするようになって、数年が経つ。近年は日本にいる時間のほとんどをこの場所で過ごしている。

スタジオの近所を車で行き来していると、よく道端に石の灯篭が立っていることに気づく。東京で育った私にとって、それは少し珍しく、奇妙な光景だった。近所に石材所が多いことも関係しているのだろうか。

そんな中でいつの頃からか、隣町に移動するときに目にする1つの灯篭が何となく気になり始めた。一言でいえば、その灯篭はまるで人間のように見えるのだ。ふとした拍子にそれが視界の隅をかすめると、誰かとすれ違ったと錯覚して振り返ってしまう。サイズやプロポーションが直立した人間に似ていて、火袋のあたりからは目線を感じる気もする。灯篭自体はそこまで古いものではなく、「石に魂が宿っている」とか、そういった怪談めいたことを言いたいわけではない。私にはたまたまそう見える、というだけの話だ。

今回の展覧会でメインとなる新作は、そんな日常の1コマに端を発している。人のような灯篭を見ているうちに、人間と灯篭を組み合わせた彫刻を作ってみたくなったのだ。そして制作を進める中で、それは次第に私にとって重要な意味を持つモチーフだと思えてきた。死者の魂を導き、弔うという灯篭の機能は、私が歩む「彫刻」という道を照らしてくれるものだとも感じられる。芸術や創造は、どこか冥界のような場所と繋がっているからかもしれない。あるいは「何かを照らすために立っている」という状態は、それ自体は主役ではなく、いわば引き立て役・脇役にすぎないということを意味している。「目立つこと」をなるべく避けて幼少期を送った自分にとって、それは少し親近感を持てる在り方だ。そんな存在が主役になる作品を作ってみたいと私は思った。

今回の展覧会では、この作品を中心としたいくつかの新作たちを、インスタレーション的に配置する。そしてその構成要素の中には、「4」や「13」といった、日本や欧米で不吉とされる数字が隠されている。また私が普段ベースとしている西洋の彫刻技術のみならず、仏教美術や石庭など、アジア的な造形を参照した部分もある。これら1つ1つの発想の組み合わせも、きっかけはあくまで日常の思いつきに過ぎない。しかし同時に、現在のコロナ禍において、私のもう1つの拠点であるニューヨークでアジア人が厳しい立場に追いやられていることなどが、制作のプロセスにも影響している。アジアや欧米の文化を見直し、今一度自分のアイデンティティを捉え直し表現したい、という思いが今の私にはある。今回の展示が、この厳しい状況下にも関わらず会場に足を運んでくれた人たちにとって、わずかでも未来を照らし出すものとなってくれたら、と思う。

青野セクウォイア

元永定正/Sadamasa MOTONAGA - Large and Small –

April 12 Mon - May 8 Sat, 2021

1922年三重県生まれ。1955年「具体美術協会」に参加し、退会までの16年間の全展覧会に出品。具体美術の代表的作家として、絵画、彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、舞台美術など、実験的かつ自由で遊び心のある作品を制作されました。
また中辻悦子氏デザインによる絵本も多数発表され、子どもたちが創作世界の楽しさに触れられるような活動もされています。

そんな元永さんが亡くなられてから、早や10年。
この没後10年の節目に、元永さんの絵本「おおきい ちいさい」をイメージした作品展を開催いたします。
ぜひご高覧ください。

谷口真人/Makoto TANIGUCHI 「We-presence」

November 14 Sat - December 12 Sat, 2020(12/15 Tueまで延長致します)

谷口真人は、1982年東京都生まれ、東京藝術大学大学院美術研 究科先端芸術表現専攻を修了し、これまで「美少女の美術史」 (青森県立美術館 / 静岡県立美術館 / 島根県立石見美術館(巡回 展)、2014, 日本)、「TOKYO POP UNDERGROUND」(Jeffery Deitch、2019, New York, Los Angeles)などの重要な展覧会に参加しています。 谷口の作品に特徴的にあらわれる”距離”の感覚は、映像、画像、バーチャルリアリティ、パーソナルコンピュータのユーザインターフェイス等の現代的情報環境からの影響を感じさせると共に、人間の認識への問いや感情移入作用を通じて、作者の内的、主観的なイメージを、観る者の内へ呼び覚まします。
それはわたし、あなた、それ、が、重なりあうほど近く、手の届かないほど遠くに感じられる感覚です。本展では等身大を含めた新作の鏡を用いたペインティングを2階で、昨年ニューヨークで発表した映像を用いたインスタレーション作品を再構築し3階で発表いたします。

U-die 「I – live」

October 15 Thu - November 5 Thu, 2020

U-die/ユーダイは2010年以降、独自のアイデアと仕掛けによって自作の漫画がアートワークに展開するという、そのユーモラスでコンセプチュアルな視覚表現で鑑賞者を引き込み釘付けにしてきました。平面作品では動画にも展開する「アレについてのムダ話し」またオリジナルペインティングは吹き出しの文字までも全て手書きという「アルファベット」「モザイク」と、3シリーズで合計9作品を制作してきました。今展ではオリジナルペインティングの展示ができないものはプリント作品を含めて、この10年間で制作された平面作品全てのイメージを展示致します。
また、一瞬のひらめきを表現した参考作品群の展示も行います。これまでは東京を中心とした少数の作品紹介でしたが、10年目にしてまとまった発表となる初個展をぜひご高覧下さい。