超京都 水谷イズル – a mirror of Kairos 2011 –

2011.11.11.fri-13.sun

会場:渉成園(東本願寺別院)
京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町

カイロスの鏡 2011  a mirror of Kairos 2011

ギリシア神話では、クロノスとカイロスという二人の時を司る神が登場します。
クロノスは時計で表される客観的な時間を、
カイロスは一人ひとりが感じる主観的、心理的な時間を司っています。

合理的には時間はすべての場所で同じように流れていると考えられていま
すが、実は一人ひとりが自分だけの時間をもっているのではないかと感じ
ています。(同じ1時間が永遠に長く感じたり、あっという間に過ぎ去るように感じることもあります。)

私は銀閣寺(慈照寺)が大好きでたびたび訪れます。銀沙灘、向月台など、(創建当時とは異なっているようですが)およそ500年前の寺の庭とは思えない、抽象的な意匠に驚き、またその精神性の高さに畏敬の念をいだいておりました。
浅学のため、詳しい知識はありませんが、向月台は月を迎えるためのものと伺いました。金閣寺の日輪(昼の思想)に対して、銀閣寺は月(夜の思想)を表しているとも聞きました。この作品は私なりの銀閣寺へのオマージュです。

日本の神話では、時を司るのは「月読命」(つくよみのみこと)とされています。(農耕文化の影響もあったのでしょう。)
月の運行は潮の満ち引きにも影響を与え、満月の夜に人が多く生まれるなど人の生体にも影響を与えているとも言われています。

身体の時間と天体の運行は繋がっているのかもしれません。
私たちの日常は時計(客観的な時間)に支配されていますが、
心静かに瞑想して、日常の時間とは別の、自分の内的な時間と天体の運行を感じていただければ幸いです。

2011.10
水谷イズル