田島弘庸/Hirotsune Tashima solo exhibition

7/11 fri-31 thu

レセプションを18日17:30より行います。ぜひご参加下さい。

「田島弘庸/Hirotsune Tashima - Treat yourself - 」を開催いたします。
現代社会を生きる様々な人々の日常を、陶という表現媒体を用いながら発表し、見るものに問いかける田島弘庸。在米20年以上の田島が今回の展覧会で選んだテーマは、「アメリカの食文化」です。

Artist Statement
アメリカでは、甘いものやスナック、おつまみなど、人に “遠慮なくどうぞ” と薦める時に、”Treat yourself”という表現をよく使います。
この言葉は日本語でいう「自分にご褒美を」という意味ですが、アメリカの食文化において多くの人は快楽に弱く、この”Treat yourself”を何かと理由をつけては自分自身に言い聞かせ、身体に悪いと知っていながらも人々はカロリーの多い食事を食べ続けています。
「体力つけるのに肉食べておこう」「チーズはカルシウムだから」「景気づけに乾杯!」「だって美味しいもん」
アメリカ生活でよく見られる現代人の姿ですが、彼ら自身が悲観的かと言われればそうでもないようです。
日常に溢れかえるそれらの食べ物は人々を麻痺させ、それが当たり前になり、多くのアメリカ人は問題意識さえ持たなくなっています。反対にその食生活に彼等は満足し、毎日をエンジョイしているようです。
その一方で、アメリカでは日本よりもベジタリアンフードやBIO食品が多く売られ、両極端な側面が見受けられます。
遠い日本から見る異国の食文化は、あきらかに身体に害のある、肥満を引き起こすものですが、人が持つ価値観は人それぞれで、もっといえば国や文化の違いによっても異なります。
快楽と節制、不健康と健康、何を自分のスタイルにするかを考えるか否かで、その人の体型、健康状態、もっと言えば人生が変わるのだと思います。
楽しみながら暴飲する彼らは、私のスタイルではありませんが、愛くるしく幸せそうにも見えるのです。

田島弘庸/Hitotsune Tashima – Organic Banana 2012 –

7/7 Sat-28 Sun 3Fgallery space

1969年広島県生まれ。’92年メリーランド美術大学(ボルチモア/アメリカ)大阪府国際交流財団給費留学、’93年大阪芸術大学
陶芸学科卒業。現在、ピーマカレッジ(アリゾナ/アメリカ)陶芸学科 教授。
アメリカ、アリゾナ州で制作を続ける陶芸家。独特の人物陶芸の世界を、人間の本質や自意識をシニカルで戯曲的な手法で作り出す。

<田島コメント>
“Banana People and Black Chocolate Rain”
バナナなど身近な食品をはじめ、暮らしの中にオーガニックやスローライフを取り入れ、このストレス社会を少しでも豊かにしようと生きる現代のバナナピープルたち。
オーガニックのお酒やタバコなど冗談みたいなものまであります。その普通に生きるバナナピープルに忍び寄る黒い心の雨。

-Black Chocolate Rain-
あるものは涼しい顔でよけきれたつもりになり、徐々に侵食されてゆく。
あるものはあまり考えず遊びのつもりで底なしのたまりへ引きずり込まれていく。非常に危険な甘い黒い雨である。

田島弘庸 /Hirotsune Tashima -Organic Banana-

ここ数年来有機農業やオーガニックフードが見直され、生活に取り入れる人たちが増えてきました。だからといって、オーガニックのチョコレートをはじめとするお菓子、缶詰、パックなどの加工食品、果てにはお酒、タバコ、なんて、冗談にしかならない様な物までありますが、あまり神経質になり過ぎて本末転倒になるのもこっけいです。ここにいる人達は栄養価も高く、今ではとても身近な「バナナ」を上手に生活に取り入れる人たちです。彼らこそ今の複雑な世界を少しだけこだわり、そして物事の良い面を見つめながら日々を過ごしている私であり、あなたです.
「揺り籠から墓場まで」の言葉で表されるように、いろんな状態の人々を再現しました。

私の作品は日本やアメリカの社会の風潮を注意深く見て、それを作品に再構成します。鏡を通して再構築されたそれらのものは私の内面を通過し、外面を利用してセルフポートレイトになり、バナナピープルになりました。私が土を練り、たたらを使って何度も焼き上げたバナナピープルは、私達の目から見たこの社会です。