呉逸寒/WU Yih-Han solo exhibition

7/11 fri-31 thu

「呉逸寒/WU Yih-Han -In Bteween- 」を開催いたします。
呉逸寒は2006年に国立台北藝術大學卒業後、さらにドイツで学び、台湾とドイツをベースに活動しています。この度は日本での初個展となります。

Artist Statement

「肖像画とは、外部的特徴の描写により、個人を表現することである」
Hermann Deckert『肖像画の概念』

肖像画の歴史上の役割は、誰かについて記憶し、記録にとどめることでした。外見、姿勢、服装、ジェスチャーなどの特徴は、その個人の性格や生涯を知るヒントとなりました。ただし、肖像画は、対象を絵として客観的になぞるだけではありません。アーティスト独自の視点や意味付けも反映されます。
カメラの発明以来、現代の肖像画には、もはや「記録」の役割はありません。それでも、現代芸術家たちの主観的・個人的な解釈により、肖像画に全く別の視点が加わりました。私は、21世紀に生きる者として、過去を否定するのではなく、歴史を受け入れ、前進する方法を模索しているところです。
私は、北方ルネサンスやフランドル・ルネサンスの感情を抑えた不思議なスタイルと繊細な質感から大きな影響を受け、ルーカス・クラナッハ、ハンス・ホルバイン、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンなどの巨匠に学びました。滑らかなジェッソの下地の上に、透明性と光沢を加えることで、ウェイデンやクラナッハの作品に似た雰囲気の明るい繊細な質感を生み出しています。
また、巨匠の作品と比べられがちな物語性、記号論、その他のさまざまな絵画言語を排し、純粋に人物を提示することを心がけています。このようなシンプルなイメージは、客観的な描写に見えるかもしれませんが、実際には多くの点で、私自身の個人的・主観的なアレンジが含まれています。姿勢、服装、背景の空間、色のレイアウト、そして対象の特徴は、控えめでありながら、観察者に読み取れるよう工夫しています。